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長壁 豊隆; 加藤 義博*; 本元 悟*; 桑原 慶太郎*
高圧力の科学と技術, 25(1), p.57 - 63, 2015/03
強相関電子系物質の圧力誘起相臨界領域で発現する新奇物性を、同一の高圧試料環境下において構造-磁性-伝導の相関の視点から研究するため、中性子回折用ハイブリッド式対向アンビル(HA)を用いて電気抵抗との同時測定を実現するための技術開発を行っており、現在、これに不可欠なガスケットの絶縁技術開発を中心に行っている。HAでは、中性子透過率を重視してアルミ合金(JIS A2017P)ガスケットを使用している。我々はこれに着目し、ガスケット表面に特殊な陽極酸化皮膜(ミタニライトト)を形成し、これを絶縁層として利用する方法を考案した。室温下でミタニライト皮膜付きガ スケットの加圧試験を行った結果、測定用リー ド線の断線やショートを起こさずに約6GPaの圧力発生に成功した。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏*; 石川 法人; 小檜山 守*; 稲見 隆*; 神原 正*; 奥田 重雄*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 245(1), p.171 - 175, 2006/04
被引用回数:16 パーセンタイル:72.85(Instruments & Instrumentation)金ナノ結晶での欠陥蓄積における高速粒子照射効果を調べた。種々の結晶粒径(23156nm)の金ナノ結晶箔試料(厚さ35m)を、ガスデポジション法とその後の熱処理により作製した。60MeV Cイオン,3.54GeV Xeイオン及び2.0MeV電子線を低温で試料に照射した。照射中の電気抵抗率変化をその場測定することにより、欠陥蓄積挙動を観測した。電気抵抗率変化の照射量依存性を解析した結果、欠陥生成断面積()及び欠陥消滅断面積()が結晶粒径の減少とともに単調増加することがわかった。このことは、金多結晶よりも弾き出しエネルギーの閾値(E)が低くなっていると考えられる金ナノ結晶での結晶粒界近傍領域の体積分率が大きいことに起因することを示している。また、金ナノ結晶での電子励起効果の可能性についても議論する。
山本 悦嗣; 青木 大*; 本間 佳哉*; 塩川 佳伸; 芳賀 芳範; 中村 彰夫; 大貫 惇睦
Physica B; Condensed Matter, 359-361, p.1099 - 1101, 2005/04
被引用回数:7 パーセンタイル:33.79(Physics, Condensed Matter)正方晶のNpTGa(T=Fe, Co, Ni)の高品位単結晶をGaフラックス法で育成することに成功し、電気抵抗,帯磁率,磁化を測定した。NpFeGaとNpCoGaはそれぞれネール温度が116Kと47Kの反強磁性体である。NpNiGaは30Kで強磁性に転移するが、18Kで反強磁性的な性質を持った別の磁気状態に変化する。
岡田 浩*; 夏目 聡*; 若原 昭浩*; 吉田 明*; 大島 武; 神谷 富裕
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.147 - 150, 2004/10
カルコパイライト系の薄膜太陽電池の放射線劣化機構解明のために真空蒸着法やRFスパッタ法で作製した多結晶や単結晶CuInSe薄膜の陽子線及び電子線照射効果を調べた。加速エネルギー380keVの陽子線,2MeVの電子線を室温にてCuInSe薄膜へ照射した。その結果、陽子線,電子線ともに照射量の増加とともに電気抵抗が上昇した。抵抗上昇の温度依存性を測定し、比較したところ、電子線照射の場合、110/cm以下の照射では結晶粒界を越えて電流が流れるための活性化エネルギーが33meV減少したのに比べ、210/cm照射では53meVとなった。同様の変化は陽子線照射においても観測され、510/cmの照射により9.7meV低下することが見いだされた。
青木 大*; 本間 佳哉*; 塩川 佳伸; 山本 悦嗣; 中村 彰夫; 芳賀 芳範; 摂待 力生*; 竹内 哲也*; 大貫 惇睦
Journal of the Physical Society of Japan, 73(7), p.1665 - 1668, 2004/07
被引用回数:43 パーセンタイル:81.99(Physics, Multidisciplinary)ガリウム(Ga)フラックス法によりNpCoGaの高品位単結晶を育成し、その電気抵抗,比熱,磁化率,磁化測定を行った。その結果、本系はネール温度47Kの反強磁性体であり、Npの磁気モーメントは正方晶の結晶構造のc軸[001]方向に向いていることがわかった。また、c軸[001]方向に磁場をかけた時、43KOeで鋭いメタ磁性転移が起こることを見いだした。そこでは、低磁場での反強磁性相は常磁性へと変化する。秩序磁気モーメントの大きさは、0.74Bである。これらの本系の磁気的性質を、(4個の5f電子を有する)3価Npイオンに対する結晶場効果に基づいて議論した。
町田 昌彦
Physical Review Letters, 90(3), p.037001_1 - 037001_4, 2003/01
被引用回数:58 パーセンタイル:87.11(Physics, Multidisciplinary)物質材料研究機構の大井らは、最近、メゾスケールの高温超伝導体において、極めて正確な抵抗の磁気振動が観測されることを確かめた。この磁気振動は、ほぼ0.5テスラから4テスラ程度まで観測され、振動の周期は、サンプルサイズに逆比例することも確認している。本論文では、この磁気振動のメカニズムを解明するため、数値シミュレーションを行い、世界で始めて、この結果を再現することに成功した。そのうえ、実験では知ることのできない、磁束格子のダイナミクスを示し、磁束格子とサンプルエッジとの動的なマッチング効果が電気抵抗の磁気振動を与えることを明らかにした。また、実験において周期的振動が観測されうる条件が知られていたが、これについても定性的説明を与えることに成功している。
山本 悦嗣; 芳賀 芳範; 松田 達磨; 稲田 佳彦*; 摂待 力生*; 常盤 欣文*; 大貫 惇睦
Acta Physica Polonica B, 34(2), p.1059 - 1062, 2003/00
強磁性超伝導体URhGeの最適な結晶育成条件を求めた。用いたURhGe多結晶試料はアーク溶解で、単結晶試料はチョクラルスキー法で作製した。アニールは試料の質を高めるうえで重要であり、われわれは試料をタンタル箔に包み、真空の石英管に封じてさまざまな温度でアニールを行い、電気抵抗測定によって、アニール後の試料の質を調べた。また超高真空下で固相電解エレクトロ・トランスポート法による試料純良化を試みた。
山本 悦嗣; 芳賀 芳範; 松田 達磨; 中村 彰夫; 摂待 力生*; 稲田 佳彦*; 菅原 仁*; 佐藤 英行*; 大貫 惇睦
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.3), p.187 - 190, 2002/11
チョクラルスキー法で単斜晶RbBi型構造の高純度単結晶UIrの育成に成功した。磁化測定からUIrはキュリー点を持つイジング的な強磁性体であるとわかった。磁気モーメントは(010)面の[1 0 方向に配向していた。飽和モーメントは0.5/Uであった。磁気的性質は磁化率,電気抵抗,ホール効果,熱電能にも反映し、大きく異方的であった。われわれはドハース・ファンアルフェン振動も測定した。検出したブランチはすべて9.6から32と重いサイクロトロン有効質量を持っていた。これらは電子比熱定数 =49mJ/Kmolと対応する。
吉井 賢資; 阿部 英樹*
Superconductor Science and Technology, 15(10), p.L25 - L27, 2002/10
被引用回数:11 パーセンタイル:50.72(Physics, Applied)MgCl, NaCl, KCl及びMgBOの混合溶融塩に対し、Arフロー下600Cにおいて電析を行ったところ、超伝導体MgBを含む析出物が得られた。この試料に対し、ゼロ磁場下の電気伝導測定を行ったところ、超伝導転移が約37Kで観測された。この温度は磁化測定から得られたものと近い。抵抗率は約32K以下でゼロとなった。電気伝導率の外部磁場依存性から、0Kでの上部臨界磁場及びコヒーレンス長は9.7T及び5.9nmと求められた。
Chen, J.*; 坪川 紀夫*; 前川 康成; 吉田 勝
Carbon, 40(9), p.1597 - 1617, 2002/08
被引用回数:21 パーセンタイル:73.45(Chemistry, Physical)エチレンとエチレンオキサイドの結晶性ブロック共重合体を放射線架橋したカーボンブラック複合体のセンサー性能を溶媒蒸気に対する応答特性から評価した。ガスセンサーの電気抵抗値は、非極性溶媒であるシキロヘキサン蒸気に応答し、10,000倍まで上昇した。しかしながら、センサー応答性は、ブロック共重合体の分子量(575~1750)の違いによって著しく異なることがわかった。この応答性の違いを電子顕微鏡による物理的構造の変化から観察したところ、溶媒の吸着による複合体中の迷細孔構造の違いに起因していることが明らかとなった。また、この複合体は、繰り返し処理に対し可逆的な応答性を示した。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人; 神原 正*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 193(1-4), p.248 - 252, 2002/06
被引用回数:2 パーセンタイル:18.93(Instruments & Instrumentation)鉄における電子励起効果について欠陥生成に焦点を絞って議論する。鉄薄膜試料(厚さ~200nm)に低温(~77K)で2MeV電子線,~1MeVイオン,~100MeV重イオン,GeV重イオンを照射して、そのときの電気抵抗の変化から試料への欠陥蓄積挙動を系統的に調べた。照射中の欠陥蓄積挙動を解析することにより、各照射粒子に対する欠陥生成断面積が得られた。電子線と~1MeVイオンの効果との比較により、~100MeV,GeV重イオンにおける電子励起の欠陥生成断面積への寄与分を抽出することができた。比較的高い電子励起密度をもたらすイオンでは、電子励起による欠陥生成が支配的になり、さらにその断面積は、電子的阻止能よりも初期イオン化率によってうまくスケーリングされることがわかった。このことは、「クーロン爆発」が欠陥生成をトリガーできることを示唆している。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人; 小檜山 守*; 稲見 隆*; 奥田 重雄*
Journal of Nuclear Materials, 297(3), p.355 - 357, 2001/09
被引用回数:217 パーセンタイル:98.84(Materials Science, Multidisciplinary)金ナノ結晶に60MeV炭素イオンを照射し、そのときの欠陥の蓄積及び回復挙動について調べた。実験結果から、ナノ結晶中に照射によって生成される欠陥は、熱的に不安定であることがわかった。このことは、ナノ結晶中に非常に多く割合の結晶粒界が存在することで説明できる。今回の結果は、ナノ結晶材料が耐照射材料として利用できる可能性を示唆するものである。
上原 和也
大学の物理教育,3, p.9 - 13, 2000/11
本稿は、日本物理学会物理教育委員会からの依頼に基づき執筆されたものである。村岡範為馳は日本物理学会の前身である東京数学物理学会の初代委員長(現会長)で、明治の初期にドイツに留学して、日本人として初めて外国の学術誌に論文を発表した。物理学が窮理学と呼ばれていた頃からの日本の物理学の歴史を概観して、村岡がドイツで行った電気抵抗の研究や、日本での日本魔鏡やX線発生実験についての研究の跡を辿っている。また、日本初のX線発生実験遂行にあたって、村岡の恩師であるレントゲンとの交流や当時の島津製作所の模様、それに村岡が音響学者として深くかかわった東京音楽学校(現東京芸術大学音楽学部)と日本唱歌の誕生の背景が述べられている。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人; 黒田 直志; 神原 正*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 164-165, p.408 - 414, 2000/04
被引用回数:7 パーセンタイル:47.27(Instruments & Instrumentation)照射アニーリング、すなわち照射中の欠陥消滅に焦点を絞って、鉄における電子励起効果について議論する。鉄薄膜試料(厚さ200nm)に低温(77K)で1MeVイオン、100MeV重イオン、GeV重イオンを照射して、そのときの電気抵抗の変化から試料への欠陥蓄積挙動を調べた。また照射後試料を等速昇温法でアニールすることにより、照射で生成された欠陥の回復挙動を調べた。照射中の欠陥蓄積挙動から各イオンに対する欠陥照射面積が得られた。解析の結果、100MeV,GeV重イオンでは電子励起による欠陥消滅が支配的になり、さらにその断面積は、電子的阻止能に対して非線形に依存しているだけでなく、イオン速度にも依存していることがわかった。また、照射後の欠陥回復挙動の結果からも電子励起が照射アニーリングに寄与していることが確認された。
蔵元 英一*; 阿部 博信*; 大沢 一人*; 竹中 稔*; 長谷川 信; 平野 耕一郎
JNC TY9400 2000-007, 50 Pages, 2000/03
本報告書は、九州大学応用力学研究所と核燃料サイクル機構が、「原子力関連材料の電子線照射効果に関する基礎研究」に関して、共同で実施した研究成果をとりまとめたものである。本研究の目的は、原子炉中性子などの照射環境下で使用される原子力関連材料(鉄銅合金他)の特性変化の基礎過程を明らかにするために、これらの材料に対する電子線照射効果を実験的手法および計算機シミュレーションなどを通してその基礎的側面から解明していくことである。高純度の鉄中における照射欠陥と銅原子の相互作用に関して、電気抵抗測定、陽電子消滅寿命測定などからそのミクロ過程に関する情報が得られた。すなわち照射で導入された原子空孔、格子間原子と強い相互作用を有して等時焼鈍回復過程に大きな影響を与えることが判明した。このことは銅原子の照射促進析出に繋がるものとして重要な結果である。また、種々の欠陥集合体に関する計算機シミュレーションをモデル結晶中で行い、その原子構造、動的挙動、転位との相互作用などに関する情報が得られた。格子間原子の微小集合体はサイズの増大とともに転位ループとしての性質をもち、移動の活性化エネルギーも低いなどの結果が得られた。また、今後の課題も明らかにした。
須貝 宏行
放射線化学, 2000(69), p.55 - 59, 2000/03
トリチウム製造(Li(n,)H反応による)に用いられている-LiAlは、室温で多量(約4at.%)の格子欠陥を含む特異な化合物である。-LiAl中でのトリチウム挙動に対する格子欠陥の影響を明らかにする研究過程で、-LiAlの電気抵抗率に対する顕著な照射効果(一般に、導伝体の電気抵抗率は照射損傷により増加するにもかかわらず、中性子照射した-LiAlの電子抵抗率は約50%減少した)を見いだした。これらの照射効果に関する研究について紹介する。
加藤 春實*
JNC TJ7400 2000-005, 20 Pages, 2000/02
今年度は、深部岩盤における初期応力測定用プローブの測定システムのうち、ひずみゲージセルと耐圧容器の製作を行ない、ひずみゲージセルの耐圧性能試験を実施した。本報告書では、ひずみゲージセルの製作手順について詳細に説明し、静水圧下で行なったひずみゲージセルの耐圧性能試験の結果について述べた。各載荷試験における圧力-ひずみ曲線は極めて弾性的で良い再現性を示した。また、ゲージセルに温度ゲージを埋設すると、ゲージセルの変形によって温度ゲージの電気抵抗が変化するために、ゲージセルの温度を正しく測定できないことが示された。
須貝 宏行; 矢萩 正人*; 栗山 一男*; 前田 裕司*
JAERI-Conf 99-013, p.204 - 206, 2000/01
低温下(40K以下)で、金属間化合物-LiAlに60MeVのLiイオンを照射し、電気抵抗率のその場測定により、-LiAl中のLi原子空孔の規則・不規則変態に対する照射効果を調べた。低温下におけるLi原子空孔の規則配列は、Li原子空孔の濃度が高いほど、Liイオン照射の影響を受けにくいこと等が明らかとなった。すでに、Phys.Rev.(B52(195)3020)誌に発表した内容をポスターセッションで紹介する。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.236 - 240, 1999/00
被引用回数:8 パーセンタイル:53.62(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉に用いられる材料は常に放射線に曝されるため、その照射挙動を調べることは重要なことである。これまでFCC金属については電子線、イオン、中性子照射での挙動が調べられているが、BCC金属については電子線、中性子照射がおもに行われ、イオン照射はあまり行われていない。そこで今回、代表的なBCC金属である鉄について低温でイオン照射を行い、そのときに導入される格子欠陥の蓄積挙動を調べた。スパッタリングでサファイア基板上に作製した鉄薄膜(厚さ~200nm)に0.52.0MeVのH,He,C,Ne,Arを80Kで照射し、そのときの電気抵抗変化をその場測定した。導入された欠陥の照射量依存性を示す曲線から、欠陥生成断面積、欠陥消滅断面積、損傷効率といった基礎データが各イオンについて求められた。一次はじき出し原子の平均エネルギーが大きくなるにつれて、損傷効率は減少していき~0.3でほぼ一定になる傾向が得られた。
知見 康弘; 岩瀬 彰宏; 石川 法人
Mat. Res. Soc. Symp. Proc., 504, p.221 - 226, 1998/00
従来、金属の照射損傷は入射粒子とターゲット原子との間の弾性的相互作用のみで起こると考えられてきたが、最近十年間で、高エネルギー(100MeV)重イオン照射による高密度電子励起に起因する原子変位がFCC金属結晶中で起こりうることが発見された。また、BCC金属である鉄をGeVイオンで照射したときにも原子変位が観測されている。今回は、100MeV領域の重イオン、1MeV領域のイオン及び2MeV電子線を鉄薄膜に低温照射して格子欠陥を導入し、そのときの電気抵抗変化をその場観測した。各照射での欠陥蓄積挙動の違いから照射中の欠陥生成及び欠陥消滅における電子励起効果を評価した。その結果、高エネルギー重イオン照射において高密度電子励起によると思われる欠陥生成及び消滅(照射アニーリング)が観測された。